周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症)(自家中毒症)

●病態
周期的に反復する嘔気・嘔吐の発作。5~10歳に多いが、稀に成人にもみられる。痩せ型、男児、神経質な小児に多い。元々の体質に加え、感染症、肉体的・精神的疲労、行事や外出などのストレス、食事量の極端な低下などが発作の引きがねになる。成長とともに症状、頻度が少なくなっていき、自然になくなることが多いが、片頭痛発作に変わることもある。
小児はブドウ糖の貯蓄が少なく、肝に貯蔵されているグリコーゲンをブドウ糖に変換してエネルギーとして使用するが、その代償機能も数時間しか持たず、すぐにグリコーゲンは枯渇する。糖分が枯渇した後は脂肪を燃やしてエネルギーを作ろうとするが、脂肪を燃やすとケトン体が作られ、多量のケトン体は処理しきれず体内に溜まっていく。体内にケトン体が溜まると嘔気が生じ、嘔吐により糖分が摂れず、更に脂肪が燃やされ、ケトン体が溜まるという悪循環になる。
約25%に片頭痛があり、片頭痛の亜型とも考えられている。ある研究では、本症の患者の母親には片頭痛、うつ病、過敏性大腸症候群、甲状腺機能低下症の発症率が高く、ミトコンドリアDNAは100%母親由来であることから、これらの疾患を発症しやすい傾向のあるミトコンドリアDNAの多型を保有する個体に出現する病態なのではないかと推測されている。
●症状
嘔気、嘔吐治療を行わなければ数日間嘔吐を繰り返すことがある。
嘔吐以外には腹痛、頭痛、知覚過敏などの症状を伴うことがある。
●検査
血中や尿中でケトン体が増加する。
●診断
急性胃腸炎、てんかん自律神経発作、脳腫瘍・頭蓋内出血、GERD、ケトン性低血糖症、先天代謝異常症などを除外する。
頻回に繰り返す場合や重症例では、血糖値・甲状腺機能・乳酸・ピルビン酸・アンモニア・血清浸透圧・尿中Na・尿浸透圧・血ガス・ACTH・ADH・頭部MRIなどを調べる。
周期性ACTH・ADH放出症候群:
傾眠傾向または抑鬱状態、高血圧、頭痛を伴う頑固な嘔吐発作を繰り返す。低Na血症、血清浸透圧低下、血中ACTH上昇、血中ADH上昇、血中コルチゾール上昇、乏尿、尿中17-OHCS高値、尿中Na高値、血中・尿中カテコラミン高値などの検査所見を認める。頭部MRIで下垂体後葉の高信号が発作時には減弱し回復期には正常化することが報告されている。抗ヒスタミン薬(発作時アタラックスP点滴、間欠時ペリアクチン内服)、カルバマゼピンが有効という報告がある。
●治療
・ナウゼリン座薬
・輸液、プリンペラン
●予防
高脂肪食やチョコレート、コーヒーを避ける。
食事を抜いて空腹のまま就寝しない。
適度のおやつ、特に炭水化物を食べる。
ストレス時には糖分を早目に通常以上に摂取する。
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