眼の腫瘍には発生する部位により、眼瞼、結膜、眼球内、眼窩内に分かれる。
●眼瞼
良性腫瘍の頻度が高い。母斑、麦粒腫、霰粒腫、脂漏性角化症、角化棘細胞腫(ケラトアカントーマ)など。高齢者で眼瞼腫脹が生じた場合は悪性腫瘍も考えて病理組織検査に提出する。基底細胞癌、脂腺癌、扁平上皮癌の順で頻度が高い。
・基底細胞癌(基底細胞腫)
転移する事は希だが周囲に浸潤性に増殖して頭蓋骨や副鼻腔まで浸潤し、出血や呼吸困難等で死亡する。眼瞼皮膚から出来る潰瘍を伴った黒色の部分もある隆起性病変。
・脂腺癌
涙の蒸発を防ぐ目的で脂肪を分泌するマイボーム腺やツァイス腺から発生する。悪性度は他の眼瞼癌より高く、耳前リンパ節や下顎リンパ節に転移する。霰粒腫と間違われることもあるため、50歳以上では切除検体を病理検査に提出することが必要である。治療法は切除や電子線照射がある。
●結膜
・扁平上皮癌
球結膜からは扁平上皮癌が発生する。特に結膜輪部と呼ばれる黒目と白目の境界から発生することが多く、角膜の表面には薄い白色で半透明な膜として広がり、次第に盛り上がりが生じる。治療法は顕微鏡下で切除し、冷凍凝固を切除面に加え再発を防ぐ。抗がん剤であるマイトマイシンの点眼も薄く広がる場合は有効。
・悪性黒色腫(メラノーマ)
結膜には悪性黒色腫も発生する。前癌状態である特殊な母斑(PAM)から起こる場合と突然新たに発生する場合がある。治療法は切除、冷凍凝固、マイトマイシンC(MMC)の点眼などがある。
・悪性リンパ腫
結膜の悪性リンパ腫は結膜下のスモークサーモンのような赤色調の表面平滑な腫瘤である。治療法は表面に露出している腫瘍を切除して病理検査を行い悪性度を確定して低悪性度なら経過観察、腫れがひどい場合は放射線照射をすることがあるが、角膜上皮障害、ドライアイ、白内障などの後遺症が起こる場合がある。
●眼球内(強膜、ぶどう膜(虹彩、毛様体,脈絡膜)、網膜)
・網膜芽細胞腫(retinoblastoma)
網膜からは網膜芽細胞腫が主として3歳以下の子供に発生する。
・悪性黒色腫
ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)にはメラニン色素を産生する細胞があるため、悪性黒色腫が発生する。
●眼窩
眼窩内には種々の組織があるため、種々の腫瘍が発生する。症状は眼球突出、復視、視力低下、眼痛、羞明などがある。良性腫瘍では多い順に、涙腺多形腺腫、炎症性偽腫瘍、血管腫、類皮嚢腫、髄膜腫、リンパ管腫、神経線維腫などがある。悪性腫瘍には、小児期では横紋筋肉腫が多く、成人では悪性リンパ腫、腺様嚢胞癌、腺癌の順に多い。特に高齢者では悪性の場合が多い。良性腫瘍の治療法は切除であるが、後遺症として復視、眼瞼下垂、視力低下などが起こり得る。US、CT、MRIの画像検査で腫瘍の大きさや浸潤を確認する。
・炎症性偽腫瘍
境界不鮮明な広がりであり、ステロイド剤の投与により治癒する場合もあるが、内服を止めると暫くして再発する事も多いので、放射線照射や抗癌剤を併用する場合もある。
・横紋筋肉腫、悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は眼窩内悪性腫瘍の40%を占める。
抗癌剤や放射線の感受性が高いため、腫瘍の一部を切除して病理診断を確定した後に非手術的な治療を行う。
・涙腺癌
放射線感及び抗癌剤に対する感受性が低いため眼窩内容除去術や重粒子線照射を行う。
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