●概念
急性鼻副鼻腔炎とは、急性に発症し発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患。ライノウイルス、パラインフルエンザウイルスなどのウイルス感染が発端となって上気道炎を生じ、数日後に肺炎球菌、インフルエンザ菌などによる細菌感染に移行する場合が多い。ウイルス及び細菌感染により副鼻腔(前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞)に炎症が起き、副鼻腔内に液貯留を認める。膿性鼻汁や咳嗽などの症状が1週間以上続いた場合疑う。副鼻腔炎の症状が12週間以上続く場合は慢性副鼻腔炎と診断される。
●症状
鼻汁、鼻閉、歯痛、頭痛、嗅覚低下、症状再燃
●検査
レントゲン、CT、エコー
小児の単純X線検査は6歳以下の患者では補助診断にすぎない。小児のCTは合併症がなければ行う必要はない。小児期においては臨床的に副鼻腔炎を疑われていない例でもCTで副鼻腔の粘膜肥厚が高率に認められるため、CTの特異度は低い。
●治療
1.7~10日以内は経過観察。急性ウイルス性鼻副鼻腔炎では特別な治療をしなくとも10日以内に治癒する。
2.膿性鼻汁が10日間以上持続、または5~7日後に悪化する場合、細菌の二次感染による急性細菌性副鼻腔炎と診断する。スコアリングし、重症度を分類する。
・小児の重症度分類
鼻漏:0(なし)、1(時々鼻をかむ)、2(頻繁に鼻をかむ)
不機嫌・湿性咳嗽:0(なし)、1(咳がある)、2(睡眠が妨げられる)
鼻汁・後鼻漏:0(漿液性)、2(粘膿性少量)、4(中等量以上)
軽症1-3、中等度4-6、重症7-8
・成人の重症度分類
鼻漏:0(なし)、1(時々鼻をかむ)、2(頻繁に鼻をかむ)
顔面痛・前頭部痛:0(なし)、1(我慢できる)、2(鎮痛剤が必要)
鼻汁・後鼻漏:0(漿液性)、2(粘膿性少量)、4(中等量以上)
軽症1-3、中等度4-6、重症7-8
3.重症度に応じて治療を開始する。
・小児の治療アルゴリズム
軽症:
抗生剤非投与で5日間経過観察
→改善なければサワシリン(AMPC)常用量5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)を高用量で投与
中等度:
サワシリン(AMPC)常用量5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)を高用量で5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)の高用量、またはオラペネム(カルバペネム)常用量を投与
重症:
サワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)を高用量で5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)の高用量、またはオラペネム(カルバペネム)常用量を5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければ薬剤感受性を考慮し薬剤変更または上顎洞穿刺洗浄考慮。
・大人の治療アルゴリズム
軽症:
抗生剤非投与で5日間経過観察
→改善なければサワシリン(AMPC)常用量5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)の高用量、ジェニナック、アベロックス、クラビット、スパラ、オゼックス(レスピラトリーキノロン1日1回)、ジスロマック(AZM2g単回)で投与
中等度:
サワシリン(AMPC)高用量、サワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)常用量を5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければサワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)の高用量、ジェニナック、アベロックス、クラビット、スパラ、オゼックス(レスピラトリーキノロン1日1回)、ジスロマック(AZM2g単回)で投与で5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければ薬剤感受性を考慮し薬剤変更またはロセフィン(CTRX)1日1回3日間と上顎洞穿刺洗浄を考慮。
重症:
サワシリン(AMPC)、メイアクト(CDTR‐PI)、フロモックス(CFPN‐PI)、トロミン(CFTM-PI)の高用量、ジェニナック、アベロックス、クラビット、スパラ、オゼックス(レスピラトリーキノロン1日1回)、ジスロマック(AZM2g単回)で投与で5日間投与(改善あれば10日間投与)
→改善なければ薬剤感受性を考慮し薬剤変更またはロセフィン(CTRX)1日1回3日間と上顎洞穿刺洗浄を考慮。
・血管収縮点鼻薬:プリビナ、ナーベル、トーク、ナシビン、コールタイジン等
症状の急性期3日に限り推奨。血管収縮薬の局所投与は固有鼻腔の甲介粘膜などのうっ血を軽減する、鼻粘膜の粘液線毛輸送能を改善する。点鼻後数分で鼻閉がとれてすっきりするが、使うほどに効果が弱くなり、使用回数が増えると鼻粘膜がかたくなってり悪化するため、短期間の使用にとどめる。血管を収縮させるため、血圧が低下してショックをおこす可能性がある、2才未満の乳幼児では使用されない。
・抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
抗ヒスタミン薬は副鼻腔炎の治療に対してはエビデンスはないが、アレルギー性鼻炎が合併していれば使用する。症状からの鑑別は難しく、鼻汁好酸球・RAST等を参考にしないと厳密には難しい。第一世代抗ヒスタミン薬投与でかえって鼻汁の粘性を高めて滲出性中耳炎を引き起こしやすいため注意する。
・鼻洗浄
食塩水による鼻洗浄は副鼻腔を清潔にして湿った状態に保つ。
4.慢性副鼻腔炎の治療
成人では、エリスロマイシン(EM)400~600mg、クラリス(CAM)200mg、RXM150mg、小児ではエリスロマイシン(EM)10mg/kg、クラリス(CAM)5mg/kgを基準として症例により適宜増減する。3ヶ月の投与で全く無効な症例は速やかに他の治療法に変更する。有効症例でも投与期間は連続では3~6ヶ月で一度打ち切り、症状再燃時に対して再投与で対処する。
アレルギー性鼻炎があり、鼻汁が漿液性で副鼻腔陰影を伴うものは抗アレルギー薬を投与する。
マクロライドはウイルス感染の去痰・鎮咳作用、線毛運動促進、抗炎症作用もあり慢性炎症に対して十分な効果を期待できる。12週間継続することで、自覚症状は70%の人が改善し、CTでも改善以上が60%以上。
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