腹水

●輸液量
経口摂取量がほとんどない状況では1000mL/日を目安とする。2000mL/日以上の輸液は、腹水を増悪させる可能性が高い。
●利尿薬
悪性疾患による腹水の患者では二次性アルドステロン症を合併していることが多く、レニン-アンギオテンシン系を抑制するため、スピロノラクトン(アルダクトンA、ソルダクトン)が第一選択薬となる。スピロノラクトンは体重0.5~1kg/日と減少することを目安に3~7日毎に100mgずつ増量する。アルダクトンAは400mgまで増量可能だが、実際には高K血症により150mg程度までの増量のことが多い。治療抵抗性の場合、ループ利尿薬であるフロセミド(ラシックス)を併用する。利尿剤の通常開始量は、アルダクトンA100mg/日とラシックス40mg/日であり、アルダクトンAは最大400mg/日、ラシックスは160mg/日まで増量できる。この100:40の比率を守れば、通常カリウムは正常に保たれる。開始後1週間後に腎機能・電解質を確認し、投与量を調節する。ナトリウムが低下(<130)のとき、ラシックスは減量する。カリウムが上昇(>5.5)のとき、アルダクトンAを減量あるいは中止し、ラシックスを増量する。腎機能異常を生じた場合、アルダクトンA及びラシックスを減量あるいは中止する。報告レベルではラシックスの100mg持続投与が改善をもたらすというものもある。例えば維持液500mgにラシックス100mgを混注し持続点滴する。
●アルブミン投与
低アルブミン血症が高度時(2.5g/dl以下)に20~25%アルブミン100ml/日3日間DIV
●FFP
FFP 500ml×2、ラシックス 1A ivはFFP投与前・間・後の3回/日を3~5日間投与
●オピオイド
張り感や張りによる痛みに有効な場合がある。疼痛で使用する使用量の30~50%で開始して、効果があり、眠気がないことを確認して30%ずつ慎重に漸増する。腹水量に働きかけずに腹満感を減らす方法として、少量のオピオイド(フェンタニル100~200μg/日、フェントステープ1mg)が経験的に用いられている。キシロカイン500~1000mg/日、ケタミン10~50mg/日が用いられることがある。
●シャント
全身状態が良い患者ではシャント術の適応となる場合がある。
●ステロイド
高サイトカイン血症(CRP高値で感染症が否定的)のときにステロイド少量を全身投与すると腹満感に有効なことがある。
●腹腔穿刺
症状の程度、全身状態、予後によって腹腔穿刺を考慮する。1回の排液量は2000mlとし、時間をかけてゆっくり抜くのがよい。(1000ml/時)。大量排液は血液低下を起こすことがあるため危険である。腹腔穿刺は腸管が著明に拡張している場合は禁忌である。腹腔穿刺によって腹部膨満感や呼吸困難は改善するが、その効果はあまり長続きしない。腹腔穿刺を繰り返すと蛋白喪失を助長し、さらに腹水貯留を加速することになる。
●特発性細菌性腹膜炎(SBP)
特発性細菌性腹膜炎は感染源が不明の腹水の感染をいう。SBPは肝硬変による腹水でよくみられ、特にアルコールに起因したものが多い。これは重篤な後遺症を引き起こし、場合によっては死に至る。SBPで最も多い原因菌はグラム陰性の大腸菌や肺炎桿菌、およびグラム陽性の肺炎連鎖球菌などである。腹痛、発熱、または原因不明の悪化を伴う腹水患者はSBPが疑われる。SBPが疑われる場合は診断的穿刺を行うべきである。PMN(多形核白血球)数Pが500個/μLを超える場合感染症が示唆され、腹水培養、血液培養も行って診断する。診断された場合、セフォタキシム2g、4~8時間毎に少なくとも5日間静脈投与する(グラム染色および培養結果が出るまで)。抗生物質は生存の確率を高める。SBPは70%に及ぶ患者で1年以内に再発するため、予防的な抗生物質が適応となる。キノロン系(ノルフロキサシン400mg、経口にて1日1回投与)が最も広く使われる。
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