●概念
サルモネラ感染症の原因菌はサルモネラ(Salmonella enterica)であり、さらに2,000種類以上の血清型に細分されている。日本でのサルモネラの食中毒では腸炎ビブリオ、カンピロバクターと同様に代表的な原因菌である。鶏卵関連食品が原因のことが多い。鳥類、爬虫類、両生類が保菌している。
●症状
8時間~4日の潜伏期を経て急性胃腸炎として発病する。悪心、嘔吐、腹痛、下痢といった症状が現れる。
小児では意識障害、痙攣、菌血症、高齢者では急性脱水症、菌血症を起こすなど重症化しやすく、回復も遅れる傾向がある。
●診断
便培養
血液培養
●治療
胃腸炎症状に対し対症療法を行う。
強力な止瀉薬は除菌を遅らせたり麻痺性イレウスを引き起こす危険があるので、使用しない。
解熱剤はニューキノロン薬と併用禁忌のものがある上、脱水を悪化させる可能性があるので、できるだけ使用を避ける。
抗菌薬は軽症例では使用しないのが原則であるが、重症例では使用される。
サルモネラは試験管内では多くの抗菌薬に感受性であるが、臨床的に有効性が認められているものは、アンピシリン(ABPC )、ホスホマイシン(FOM )、およびニューキノロン薬に限られる。
わが国の非チフス性サルモネラの薬剤耐性率はABPC に20 ~30%、FOM に対し10%未満であり、ニューキノロン薬耐性はほとんどみられない。
処方例:
クラビット 500mg 分1 7日間
ホスミシン 1500mg 分3 7日間
オゼックス
バクシダール
バクシダール 6-12mg/kg/day
ホスミシン 40-120mg/kg/day
●抗生剤に関して
症状が改善されても排菌が続くことがある。抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が撹乱され、除菌が遅れるうえ、耐性菌の誘発、サルモネラに対する易感染性を高めるなどの理由で、単純な胃腸炎は投与すべきではないとの意見が欧米では一般的であるが、わが国では、ニューキノロン薬の7 日間投与は腸内細菌叢に対する影響もなく、除菌率も高いという成績に基づき、使用されている。
サルモネラ菌の排菌は1,2ヶ月続く。1年続く例もある。
軽症例への抗生剤投与は論議のあるところで、かえって排菌を遅らせるという報告もある。
参考:サルモネラ腸炎の抗菌薬の適応(治療 80(創刊号):646-647、1998)
1,下痢回数>10回/日、体温>38.0℃、血便、腹痛、嘔吐のうち、2-3項目以上の症状がある場合
2,今後重症化する危険性のある易感染性宿主
3,二次感染を起こす危険がある保育園や施設などの集団生活者
4,食品取扱者、保菌により就業上の制約を受ける保菌者
サルモネラ感染症

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