頭痛の鑑別

Migraine
頭痛は様々な原因で生じる。それぞれの症状の特徴を覚えておく。

●緊張型頭痛

●片頭痛

●群発頭痛

●混合型頭痛

片頭痛と緊張型頭痛の両者が合併する頭痛が多い。
ふだん頭が重くて、時々ズキズキするといったタイプの頭痛。
このタイプの頭痛に悩む患者は、苦しい片頭痛から免れるためについつい薬を飲みすぎてしまい、「慢性連日性頭痛」となり、頭痛をこじらせてしまう。

●慢性連日性頭痛

ほとんど毎日のように頭痛が続くタイプ。
成人の5%にある。
慢性緊張型頭痛(緊張型頭痛が慢性的に続くタイプ)と変容性片頭痛(慢性片頭痛、薬物乱用頭痛、片頭痛が薬の飲み過ぎでこじれて慢性化してしまったタイプ)がある。
慢性連日性頭痛のタイプ(変容性片頭痛/慢性緊張型頭痛)を診断。
原因薬剤の同定し断薬。
片頭痛の予防と緊張型頭痛の予防として、50歳未満はトリプタノール、それ以上はSSRI。
片頭痛の発作に対して、トリプタン使用、月経時片頭痛には期間限定でNSAIDs併用。
離脱成功後、薬物療法(予防療法+トリプタンなど)を行う。
薬物乱用頭痛を招いた薬剤は使用しない。

●薬物乱用頭痛

片頭痛持ちでは鎮痛薬を飲みすぎ、脳の痛みに敏感となり、かえって頭痛がちとなる。
エルゴタミンの場合はかえって反動的に血管が拡がってしまう。
カフェインも取りすぎると頭痛になる。
頭痛薬の服用を月10回までにし、片頭痛の予防薬を使用する。
・薬物乱用頭痛の診断基準
A. 頭痛は1ヵ月に15日以上存在し、CおよびDを満たす
B. 頭痛の急性治療および対症療法(あるいはその両方)のために使用された1つ以上の薬物を3ヵ月を超えて定期的に乱用している
C. 頭痛は薬物乱用のある間に出現もしくは著明に悪化する
D. 乱用薬物の使用中止後、2ヵ月に以内に頭痛が消失、または以前のパターンにもどる
・薬物乱用頭痛の判定法
つぎの質問に「イエス」の場合、あなたは薬物乱用頭痛にかかっている可能性がある。
1. 定期的に毎週3日以上、薬をのむ場合(予防薬を除く)
2. 薬を増やして飲んでもだんだん効きが悪くなる
3. 頭痛で目が覚める、もしくは朝起きたときから頭痛がする

●くも膜下出血

金槌で殴られたような、突然の頭痛で、発症時刻が明確。
頭全体あるいは後頭部を中心が痛む。痛みを伴わない場合も、ガーンとする衝撃感、気が遠くなる感じや、めまい感など異変が突発し、持続する。
出血が多いと意識消失や痙攣を伴う。
くも膜下出血の原因は、脳動脈瘤の破裂。
脳動脈瘤は家族発生があり。(20%)家族歴がある場合は40歳以上は検査を。
頭部CTで診断し、脳血管造影により出血原因を確認する。
動脈瘤の場合は、クリッピングにより、治療する。

●脳腫瘍

脳腫瘍の三つの特徴は、頭痛・嘔吐・うっ血乳頭。
脳腫瘍の頭痛は早朝頭痛が特徴だが、実際は20~30%程度。
脳腫瘍による頭痛は、ぼんやりしている、物が二つに見える、麻痺がある、痙攣などの変調を伴っていることが多い。
小児の脳腫瘍は、頭痛・嘔吐のほかに、不機嫌や発熱、ふらつきを呈することがある。

●慢性硬膜下血腫

ささいな頭部打撲の1~3ヵ月の後に発症する。
高齢者に多く見られる。
頭痛のほかに、ボケ症状が目だち、軽い麻痺・歩行障害を伴うこともある。

●髄膜炎

強い頭痛と発熱が特徴。髄膜刺激症状を認める。
吐き気、嘔吐も見られる。

●急性硬膜外血腫

頭蓋骨の骨折により、硬膜の血管が切れて出血し、血液が貯まって血腫ができる
始めは意識が清明だが、血腫の増大とともに意識障害が次第に現れる。

●慢性硬膜下血腫

軽い頭部打撲の後、1~3ヵ月して徐々に血腫が育ってくる。

●頭部外傷後遺症・むち打ち症

頭部打撲やむち打ち症の後に頭痛が長く続くことがある。
むち打ち症では、頭痛、頸部痛、めまい、思考力低下、イライラ、疲れやすいなどの症状が長く続く。
損傷による痛みによる筋収縮が起こり、その血行障害により筋肉が凝り、さらに痛みが生じて悪循環を生む。
また、被害者意識により余計頭痛が慢性化する。

●脳脊髄液減少症

むち打ち症やしりもちにより、脳脊髄液が漏れて脳脊髄液減少症になっていることがある。
起き上がると痛み、寝ると治る。

●側頭動脈炎

側頭動脈の炎症により、頑固な頭痛、微熱を起こす病気。高齢者の女性に多い。

●椎骨動脈解離

首を急にひねったことによる椎骨動脈の解離による後頭部の激痛。

●一酸化炭素中毒

一酸化炭素濃度が0.1~0.12%の場合は30分間で軽度の頭痛が起き、1~1.5時間で中程度の中毒になり、意識を失う。

●アルコール誘発頭痛(二日酔い)

●カフェイン

●シックハウス症候群

住まいの建材・接着剤などに使用されている有害化学物質により、眼や鼻の刺激、めまい、嘔気、頭痛などが生じる。

●感冒

●高山病、睡眠時無呼吸症候群

高山や人ごみでは酸素が不足するために、血管が拡張して頭痛が起きる。

●睡眠時無呼吸症候群

無呼吸により酸素が欠乏し二酸化炭素が蓄積するため頭痛が起こる。
朝目覚めたときに頭痛が強いのが特徴。
いびきをかく、睡眠中に呼吸が止まる、日中眠い、肥満、高血圧、寝汗、高血圧などの症状。

●高血圧

高血圧による頭痛は、朝は血圧が高くなることが多いため、朝方に後頭部が痛むという特徴がある。
収縮期血圧220mmHg、拡張期血圧120mmHg以上の高血圧だと頭痛が起こる。
降圧薬によっては、血管拡張作用のために、頭痛の副作用が起こることがあるが、多くは慣れにより頭痛は消失する。

●低血圧

低血圧とは収縮期血圧が100mmHg以下のとき、血管が広がりやすく血圧調節機能が低下しているために、血管が不安定となり、片頭痛を起こしやすい。
低血圧では、筋肉の血流も不足するために、緊張型頭痛も合併しやすく、頭痛持ちとなりやすい。
水分・食塩を多めに摂取する、蛋白質が多い肉や魚を摂取する、ビタミン・ミネラルの多い野菜や海草を摂取する、カフェインを摂取する、ウォーキングや水泳などの運動をする

●熱中症

高温の日に激しい運動を続けると、けいれん、頭痛、意識障害が起こる。
水分補給を行う。

●眼精疲労、ドライアイ

目を酷使すると緊張型頭痛が起こる。
眼痛、眼がかすむ、まぶしい、涙が出る、目が赤くなる、肩がこる、吐き気などの症状が見られる。

●急性緑内障

眼の圧力が高まると、頭痛、嘔吐、かすみ目、結膜の充血、開眼困難などの症状が現れる。

●急性副鼻腔炎(蓄膿症)

目覚めたとき、体を前に傾けた時に前額部や顔面が痛む。
鼻汁、鼻閉の症状を伴う。

●顎関節症

食事や会話の際あごを動かすと痛む、口が開けづらい口を開け閉めをすると音がするなどの症状。
若い女性に多い。
ストレスによる食いしばり・歯ぎしりなどが原因。

●頚椎症

頚椎の変形により、後頭部痛、後頚部痛、肩凝り、手のしびれ、めまいなどが生じる。

●うつ病、不安症

うつ病と診断された患者の20%以上が頭痛を訴える。
頭痛が半年以上続いた患者は、1ヵ月未満の患者に比べ、うつ病である確率が約7倍高い。
うつ病チェックリスト
下記の兆候が1ヵ月以上、毎日のように続いている場合、うつ病の可能性が高い。
1.憂うつな気分または沈んだ気持ちがする。
2. 何ごとにも興味がわかない、いつも楽しめていたことが楽しめない。
さらにつぎの項目に当てはまる場合は、いっそう「うつ病」の可能性が高い。
食欲の増減または体重の増減があった。
睡眠に問題がある(寝つきが悪い、真夜中や早朝に目覚める、寝過ぎるなど)
話し方や動作が鈍くなり、いらいらしたり落着きがない
疲れを感じたり、気力がないと感じる
自分に価値がないと感じたり、罪の意識を感じる
集中したり決断することが難しい
生きていたくないと思う。

●後頭神経痛

後頭部にある神経が外傷や圧迫、筋肉の緊張で痛めつけられ、後頚部から後頭部、頭頂部にかけてキリキリ、ズキズキ、ビリビリと一瞬の電撃的な痛みを繰り返す。
痛みの間隔は数秒から数時間で一度痛み出すと数日から数週間継続する。
痛みがないときは同部位にじわっとした違和感、しびれ感があることがある。
肩凝りや耳鳴り、急に頭を動かした時にふらっとするめまいなどを伴うこともある。
頚の付け根から突き上げられるように痛みが上がる、キヤッとするなどと表現される痛み。
髪の生え際の首の中心から左右2、3センチの辺りを指で押し、後頭部全体に大きな痛みが出れば後頭神経痛の疑いが大きい。
ストレスや低気圧、頚椎症などが原因。
鎮痛薬、ビタミン剤、マッサージ、神経ブロック、CBZやVPAなどの抗けいれん薬が効果的。

●椎骨脳底動脈循環不全

椎骨動脈の血流不全により、首をひねったときのめまいや手足のしびれ、頭痛、目のかすみ、舌のもつれ、嘔気、意識障害などの症状を引き起こす。
良性発作性頭位めまい症に比べて、めまいの続く時間は長く、数分から数時間にも及ぶ。
MRIやMRAなどの画像検査により診断される。

●ヘルペス(帯状疱疹)

額や後頭部にヘルペス(帯状疱疹)ができ、痛みを生じる。

●起立性調節障害

起床時に頭痛がする、立ちくらみ、体がだるいなどの症状が特徴。
水分、塩分を多めに摂取する、夕方から夜にかけて運動する、メトリジンなどの薬物療法などがある。

●甲状腺機能低下症

倦怠感、頭痛、イライラ、むくみなど。

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