溶連菌感染症

●概念
A群β溶血性連鎖球菌によっておこる感染症。
咽頭炎の多くはウイルス性であり(50~80%)、抗菌薬は必要ない。咽頭炎の30~50%が溶連菌感染症で、10%が伝染性単核球症である。
感染経路としては飛沫感染であり、周囲に流行がある場合が多い。
潜伏期は2~5日。
5~15歳にて有病率が高い。冬・春に多い。
リウマチ熱、扁桃周囲膿瘍、溶連菌感染後糸球体性腎炎などの合併症に注意する。
●症状
発熱、咽頭痛、頭痛、筋肉痛、頸部リンパ節圧痛、皮疹(胸→体幹→四肢)、嘔気、腹痛、倦怠感など。
咳がない、鼻感冒がない
過去2週間以内の接触があることが多い。
●所見
咽頭発赤、口蓋の点状出血、扁桃滲出物
リンパ節腫脹
●centor criteria
扁桃腺の白苔
圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹
発熱がある
咳を認めない
以上の4項目中3項目を満たせば感度75%,特異度75%でA群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎と診断できる。
●検査
迅速溶連菌検査(感度90.8%、特異度は96.0%)
咽頭培養
●カナダルール
熱が38度以上
咳がない
前頸部リンパ節腫脹を認める
扁挑がはれているまたは扁挑に浸出物がある
年齢が3~14歳である
年齢が45歳以上の場合は-1とする
0点 2-3% 可能性低い。ラボは出さず、抗菌薬も不要
1点 4-6% 可能性低い。ラボは出さず、抗菌薬も不要
2点 10-12% 迅速検査して治療の可否を決定
3点 27-28% 迅速検査して治療の可否を決定
4-5点 38-63% 迅速検査にて治療の可否を決定
●伝染性単核球症との比較
伝染性単核球症はペニシリン投与によって皮疹が出現する。30歳以前に多い。
前頸部リンパ節圧痛は溶連菌感染症であることが多く、後頸部リンパ節圧痛は伝染性単核球症である確率が高い。バイシリンはアモキシシリンより皮疹を起こすリスクが低い。
●アデノウイルスとの比較
アデノウイルス 3歳以下 咳嗽、鼻汁、結膜炎、下痢
溶連菌感染症  3歳以上 軟口蓋の著明な発赤
●治療
・経口バイシリン G(ペニシリン G)40万単位 1日3-4回(1日量120万から160万単
位) 10日間
小児は体重1kg あたり4万から8万単位を1日量とし、これを3回-4回に分けて投与し、10日間。
AMPC10日間でもよい。
・ペニシリンアレルギーがあれば、クリンダマイシン300mg1日3回を10日間。小児の場合は体重1kg あたり10-30mg を1日量とし、これを3-4回/日に分割する。 AZM5日、CAM10日でもよい。
・セフェム系 5日間
「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2007」
1. 推奨される抗菌薬療法
バイシリンG 5万単位/㎏/日、分3~4、10日間
アモキシシリン 30‐50㎎/㎏/日、分2~3、10日間
セフカペン・ピボキシル 9㎎/㎏/日、分3、5日間
セフテラム・ピボキシル 9㎎/㎏/日、分3、5日間
基本的には、ペニシリン系抗菌薬が第1選択である。
セフェム系薬による治療は、除菌効果に優れるとの報告があるが、異論もある。
2. ペニシリンアレルギーがある場合の処方例
エリスロマイシン 40㎎/㎏/日、分2~4、10日間
クラリスロマイシン 10‐15㎎/㎏/日、分2~3、10日間
アジスロマイシン 10㎎/㎏/日、分1、3日間(除菌率は劣るとの報告がある)
わが国においては、マクロライド耐性菌の分離頻度が高く、注意を要する。
3. 再排菌例への処方例
アモキシシリン・クラブラン酸カリウム 30~60㎎/㎏/日、分3、10日間
セフカペン・ピボキシル 9㎎/㎏/日、分3、10日間
セフテラム・ピボキシル 9㎎/㎏/日、分3、10日間
4. 無症状保菌者への処方例
アモキシシリン・クラブラン酸カリウム 30~60㎎/㎏/日、分3、10日間
クリンダマイシン 20㎎/㎏/日、分3、10日間
無症状保菌者に対する対処方法には議論が多い。
※アモキシシリン・クラブラン酸カリウムは連鎖球菌に保険適応しない。
●合併症
急性糸球体腎炎は抗菌剤投与でも防げない。
溶連菌感染後2~3週間後に尿検査をして陰性であることを確認してもよい。
●繰り返す溶連菌感染症
きちんと10日間服用しても15%程度の症例で本菌が残存し、再発の原因となる。
失敗につながる危険因子としては以下などが知られている。
①年齢:小児は失敗率が高い
②発症から治療までの期間:発症から治療までの時間が長い方が成績が良い2日以上だと成功率82%、これより短いと64%とされる。治療前の病悩期間が長いと免疫が刺激されるのかもしれない。
③抗菌薬の問題。バイシリンは吸収そのほかが不安定であり、十分な血中濃度を十分な期間達成していない可能性がある。
④低い服薬率
⑤再度、本菌に暴露しやすい環境
⑥ペニシリンなどを破壊するβラクタマーゼを産生する菌の共感染。
●溶連菌保菌率
12%は溶連菌保菌者であり、症状の無い場合は溶連菌検査を行わない。
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