●マムシの特徴
マムシは沖縄を除く日本の全土に分布している。沖縄にはハブがいるためマムシはいない。
夏から秋にかけて多く出現し、茶色の身体と三角の頭が特徴的である。
●マムシ咬傷の予防
マムシは穴の中、朽木や石の下に潜んでいることが多いので、このような場所に手足をいきなり入れたりしない。
カエル等を餌としているため、水田や水辺に生息しているため、水田や山などのマムシが生息している場所ではサンダル等の皮膚を露出するような服装は避け、革靴や長靴、ジーンズなど丈夫な生地の長ズボンを履くようにする。
マムシを見つけてもあわてず、こちらから攻撃せずに蛇が逃げ去るまで待つようにする。
●マムシに咬まれたら
毒牙は2本なので、2つ傷があったらマムシと確定。
毒が回るのが早くなるため、走らずゆっくり歩いて移動する。
毒の広がりを防ぐため、噛まれた箇所より10~20cm心臓よりの部分を駆血する。
傷口を洗い、口で毒液を吸い取り吐き出すことを繰り返す。
●症状
初めは虫に刺されたぐらいの軽い疼痛しかないが、徐々に腫脹し疼痛は激しくなってくる。
重症化するとDIC、ショック等生ずる。
●治療
・咬傷部より中枢側で軽く緊縛(脈が触れることを確認。わざとうっ血させる。)
・毒素の吸引(水道水で洗浄、吸引器で吸引)
・輸液療法(乳酸リンゲル使用)
・抗生剤(セファメジン)
・セファランチン10mg+5%ブドウ糖20ml IV
・破傷風トキソイド1A 筋注、テタノブリン1A 筋注
・GradeⅢ以上ではマムシ抗毒素血清の投与
マムシ抗毒素血清1A(6000U) + 生食100mlを30分以上かけて静注。子供も同量。
前もってソルメドロール500mg + 5%ブドウ糖液500mlを点滴静注する、エピネフリンを事前に0.25ml筋注するなどすると、副作用軽減できる。
・減張切開(ときに筋膜切開を要す)
腫脹が著しく、排膿があり、知覚、運動障害や末梢循環障害(末梢の脈が触れにくい)が現れた場合は、筋壊死防止のために行うと有効。1時間以内だと有効。
●治療上の注意点
・検査所見
腫脹:ヘモグロビン値・ヘマトクリット値・BUN値の上昇、尿比重の増加、白血球の増加
筋壊死:GOT・GPT・LDH・CPKの上昇
・マムシ抗毒素血清は、重症例では24時間または48時間経過していても投与すべきであるとの報告もある。また、血清を投与しても腫脹はしばらく進行するので、停止するまで追加投与する必要はないが、重症例では1~2本の追加が必要な場合がある。
・減張切開についてはほとんど必要なく、治療日数がのびるのでできる限りすべきでないとの意見もある。
・腎不全を防げれば予後良好。腎不全を起こした場合でも透析等による救命例もある。
・主な病態が浮腫で、相当量の脱水が考えられるため、輸液は重要な治療となる(尿量が保たれるようになるまで)。
・マムシ抗毒素血清投与について
投与前に皮内反応を行い、強陽性の場合は投与しない。
血清病:点滴中に発疹など即時型アレルギーあるはアナフィラキシーショックに対して、血清投与前または同時にステロイドと抗ヒスタミン剤を投与する。また、7~10日後に遅延型アレルギーが10~20%みられるが通常は、ステロイドと抗ヒスタミン剤投与にて2~3日で軽快する。
・予後:大部分は数日で腫脹や疼痛がひき始め、回復へ向かう。
死亡例の原因として、急性腎不全あるいはDIC、多臓器不全、ショックが考えられる。
・減張切開が必要な例で施行されずCompartment 症候群をおこすと後遺症として筋腱・関節の強直、屈曲障害をおこす。
●結論
・血清をいつ投与するか?
『マムシ咬傷のGrade分類』
GradeⅠ:受傷局所のみの腫脹
GradeⅡ:手首または足首までの腫脹
GradeⅢ:肘または膝関節までの腫脹
GradeⅣ:一肢全体に及ぶ腫脹
GradeⅤ:一肢を越える腫脹または全身症状を伴うもの
※ 受傷後1~2時間の症状から上記分類のGradeⅢ以上は重症と判断し血清投与を強く考慮する。
・輸液療法が非常に重要
時間尿、脈、血圧などバイタルをみながら1号輸液または乳酸リンゲルをかなりの量(5~20mL/kg/hr以上必要なことも)投与する。利尿の確認(1ml/kg/hr以上を目標に)が重要。

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